あるとき、名のあるスパイ集団の面接会が行われた。

「最初の方、どうぞ」
ドアを開けて入って来た男はいかにも悪そうで、履歴書からも腕のいいスパイだということが察しられた。
3人の面接官のうち、2人は彼を採用としたが残り1人の面接官は不採用した。

「2番目の方、どうぞ」
次にドアを開けて入って来た男は身なりがキチっとしていて、
履歴書からは経験豊富なベテランだということが察しられた。
3人の面接官のうち、2人は彼を採用としたが、また残りの1人の面接官は彼を不採用とした。

そして3人目。
ところが3人目のスパイは声をかける前からドアを開けて入ってきた。
3人の面接官が動揺している中、男はこう言い放った。
「ドアの向こうからずっと盗聴していた。会話が終わったところで入室してきたんだ」

3人の面接官は全員一致で彼を採用とした。



それを見ていた4人目のスパイはこう悟った。
「普通ではなく、スパイとしての腕前を発揮すればいいんだ」

そして4人目のスパイの番が回ってきた。
「最後の方、どうぞ」
しかし返事がない。ドアも開かない。
3人の面接官が不思議に思っている中、窓の外に人影が現れた。
次の瞬間、凄まじい音と共に4人目のスパイは窓ガラスを突き破って登場した。
もう採用を確信したように男は自慢げに面接官達の方へ視線を向けた。
「俺は盗聴が出来る上に更にロープアクションも得意だ」



もちろん不採用になった上に、ガラス代とケガをした面接官の慰謝料を請求された。



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